福山平成大学 小川教授の「経営の福袋」第50リスクについて(上)

いよいよ新しい年が始動しました。何事もそうですが、われわれが新しい局面に臨む時には、いつも期待と不安が入り混じるものです。一般的に、「期待」という言葉が良い印象を持たれる反面、「不安」という言葉には悪い印象があるので、ボクたちは一方で期待に胸を膨らませながらも、他方で不安に胸が押し潰されそうになる訳です。しかし、期待が外れることは間々ありますし、時には期待が裏切られることさえあります。逆に、不安が杞憂に終わることや、不安が解消することによって深い安堵感が訪れることもあります。と言うことは、どちらに転んでも所詮、世の中(人生)は分からないものだということなのでしょうか?

 答えは、その通りです。そこで今回は、皆さまもよく耳にされる「リスク」という言葉について考えてみたいと思います。一般的に、リスクとはマイナスの意味を含んだ言葉として捉えられ、「望ましくないことが起こる可能性」のように思われている方が多いのではないでしょうか。それも一つの定義として間違いではないのですが、経営学(特に、金融の世界)において、リスクとは「将来の不確実性」のことを意味します。では、この意味でのリスクについて、金融商品を例にお話ししてみましょう。

 例えば、手元の100万円を銀行の定期預金(利率は1%、銀行の倒産はないと仮定します)にするか、株式に投資するかと考えた場合、前者であれば、間違いなく1年後の定期預金の満期時には元本の100万円とともに利息の1万円が返ってきます。つまり、1年後の元利合計は101万円より増えることもなければ減ることもなく、確実に101万円になるということです。因みに、このように将来の不確実性がないことを「リスクフリー(無リスク)」と言います。

 一方、株式に投資した場合、元本の100万円が1年後にいくらになっているかは分かりません。期中に受け取る配当の金額や株価次第で、例えば元本が倍になっているかもしれないし、半分になっているかもしれないということが起こり得ます。こうした将来の不確実性のことを、「リスク」と呼ぶのです。もちろん株式投資をする人は、基本的に元本が増えることを期待して投資する訳ですが、結果的には期待通りに儲かるかもしれないし、期待が外れて損をするかもしれないということです。さらに、株式(銘柄)の(予想)価格変動率が高いほど、つまり株価の値動きの幅が大きい銘柄ほど、相対的にリスクが高いということになります。

 すなわち、この例の場合、将来、株価が上がって儲かるかもしれないし、下がって損をするかもしれないという不確実性がリスクということになります。しかし、これを裏返して考えれば、もしリスクフリーの定期預金の利率よりも高い利得(リターン)を得たいと思えば、損失を被る可能性があることを許容して(これを「リスクテイク」と言います)、株式などリスクのある金融商品に投資せざるを得ないことになります。さらにより高いリターンを得たいと思うならば、さらにより高いリスクを受け入れなければならないということにもなるのです。こうしたリスクとリターンの関係を一般的に、「ハイリスク・ハイリターンの原則」と言います。

(つづく)