福山平成大学 小川教授の「経営の福袋」第42 回 報徳訓に学ぶ(上)

 深刻な国際問題の一つとなっている、イスラエルによるガザ地区への侵攻は、2023年10月7日に起きた、イスラム系強硬派ハマスのイスラエルに対する大規模な軍事攻撃への報復として、同月27日に始まりました。既に2年が経過しようとしている現在も、イスラエルの攻撃は続いており、瓦礫と化したガザの街を逃げ惑い、身内の遺体に縋り付いて嘆き悲しむパレスチナの人々の姿を、映像で目にするたびに心が痛みます。

 「報復」とは相手から被害や不利益を与えられた時に、それに見合った仕返しをする行為を意味しており、一般的に悪意や敵意を伴うことが多いため報復は連鎖します。パレスチナ問題は、まさに報復による負の連鎖を体現していると言えます。しかし、こうした負の連鎖がある一方で、正の連鎖もあります。それは、誰かから受けた徳(恩恵や親切)に報いるため、誰かに徳の恩返しをするという「報徳」の思想です。

 実は、先日とても感動的な文章に出会いました。調べてみると、それは二宮尊徳翁の「報徳訓」の教えを子供にも理解できるようにと、神奈川県小田原市にある「報徳記念館」初代館長を務められた佐々井典比古氏が、「かな報徳訓」として作られた文章でした。少し長いのですが、ぜひ皆さまにも味わっていただきたいと思います。すべて平仮名で書かれていますので、できれば素直な子供心に帰って、ゆっくりとお読みになってみて下さい。

てんちの  いのちで  いきている
 せんぞの いのちで  いきている
 おやの   いのちで  いきている。
 しそんに  いのちを  つたえよう。
 いのちを  しっかり  つたえよう。
 ぶんかの  めぐみで  くらしてる
 せんぞの  めぐみで  くらしてる。
 おやの   めぐみで  くらしてる。
 しそんに  めぐみを  つたえよう
 めぐみを  しっかり  つたえよう。
 ごはんの  おかげで  いきている
 きものの  おかげで  いきている。
 すまいの  おかげで  いきている。
 たはたの  おかげで  くらしてる。
 やまの   おかげで  くらしてる。
 うみの   おかげで  くらしてる。
 こうばの  おかげで  くらしてる。
 みせの   おかげで  くらしてる。
 みんなの  おかげで  くらしてる。
 もちば   もちばで  つとめよう
 もちばで  しっかり  つとめよう。
 きょうの  ごはんで  きょういきて
 きょうの  つとめは  あすのため。
 きょねんの みのりで  ことしいき
 ことしの  みのりは  らいねんへ。
 いつでも  どこでも  おんがえし
 いつでも  しっかり  とくいかし。

  いかがでしょう。互いにこうした気持ちを心に持てば、正の連鎖が生まれてくるものと思います。