福山平成大学 小川教授の 「経営の福袋」第63回 人口減少社会に備える(上)

 先日の読売新聞で、4月23日に開催された財務大臣の諮問機関である財政制度審査会の分科会において、財務省から大学規模の縮減案が示されたというニュースが報じられました。その背景には、少子化で私立大学の約半数が定員割れに陥っていることを受け、政府が私大の統廃合や定員削減に向けた検討を加速しているためだとされています。今回、財務省が2040年までに少なくとも250校、学部定員にして14万人程度を減らす必要があるという具体的な目標値を初めて提示したのに対し、文部科学省は規模の適正化は不可避だとする一方で、機械的な判断ではなく、分野や地域別のバランスを図ることが重要だという見解を示しました。
 そもそも大学行政に関して、文科省ではなく財務省が口火を切ったのは筋違いのような気もしますが、それだけ国の財政が逼迫しているということなのでしょう。また、認可機関の文科省が提起しないので、痺れを切らして財務省が持ち出したのかもしれませんし、文科省の代わりに財務省が問題を俎上に載せたのではないかとも勘繰りたくなります。と言うのは昨今、学生募集の停止や、他大学との統合、譲渡のニュースを目にすることが多い中、昨年度5校の私立大学の新設が認可され、そのうち2校が初年度から大きく定員割れしている事実(コー・イノベーション大学42.5%、武雄アジア大学26.4%)を見ると、さもありなんと言われても仕方ないかと思います。
 ともあれ、2025年度時点における私立大学の数は624校ですので、財務省案に従えば、その約4割の私大を削減する計算になります。現在、私大の一つに籍を置いているボクも他人事ではなく、内心穏やかではありませんが、縁あってこの大学で禄を食んでいる以上、現実を直視した上で、本学が縮減の対象とならないよう今後、知恵を絞っていかなければならないと考えています。
 もちろん、こうした統廃合の問題は大学よりも先に、既に小中学校で進んでおり、総務省の統計値では公立小学校の数は平成元年(1989年)の24,608校から、平成の大合併を経て令和6年(2024年)には18,506校へと約25%減少しています。同様に公立中学校の数も、その期間10,578校から9,421校へと11%の減少となっています。当然ながら、その背景には児童・生徒の数の減少が大きく影響していることは火を見るよりも明らかです。
 尾道の市街地にあった久保、長江、土堂の3つの市立小学校が「尾道みなと小学校」として統合されると同時に、久保、長江の2つの市立中学校が統合され「尾道みなと中学校」となり、尾道市初の小中一貫校が生まれたことは記憶に新しいところです。その過程において、伝統ある母校を残して欲しいと地元住民の間で反対運動もありましたが、少子化の波と財政の逼迫化を考えると背に腹は代えられず、統合は致し方ない結果だったと思います。
 さらに、この傾向は高等学校へも拡がっており、昨秋、広島県教育委員会が県内公立高校の統廃合を検討しており、2025年度内に統廃合の再編計画を策定し、年明けに公表する計画があると中国新聞で報じられましたが、県内の各所から方針の撤廃や計画の見直しを望む声が上がり、今回の公表が一旦見送りとなったことも最近のことです。                       (つづく)