ボクは、学生や周りの人に話し掛ける時、よく「何かいいことあった?」とか、「何か、楽しい話ある?」などと声を掛けます。通常、「特になかったです」とか、「別にありません」といった返事が返ってくることが多いので、内心ちょっとがっかりします。でも、そんな時には「そりゃあ、寂しいねぇ」とか、「そりゃあ、もったいないねぇ」と言って、「せっかくの人生なんだから、楽しく生きなきゃ」と返します。するとよく、「先生は、いつも楽しそうですね」と言われるので、「もちろん! だって、こうしてあなたと会えただけで楽しいんだから」と返すと、「そうですね」と苦笑いされます。
でも、時には「はい、こんなことがありました」とか、「はい、旅行に行ってきました」などといった返事もあるので、「そう!それはよかったねぇ。で、どうだった?」と尋ねると、楽しそうにその様子を話してくれます。さらに、「そう、それから?」とか、「そうなんだ、スゴイねぇ!」などと相槌を打ちながら聴いていると、こちらの気持ちまで明るくなってくるから不思議です。
タレントの明石家さんまさんは、いつもおどけて楽しそうに見えますが、それは決して芸の上だけではなく、生きることを心から楽しんでいるからだと思います。彼がよく口にする「生きてるだけで丸儲け」は単なるシャレではなく、彼の信条であることは娘さんに「生きてるだけで丸儲け」を縮めて、“いまる(IMARU)”と名付けていることからも分かります。この、生きてるだけで丸儲けとは、ボクたちの日々の生活を見渡せば、そこには幸せが溢れているということなのだろうとボクは思います。
こう言うと、多くの人は「そんな馬鹿な」と思うかもしれません。でも、当たり前のように、今日あなたが摂った食事、今あなたが着ている服、あなたが暮らす快適な部屋、さっきあなたが使った清潔なトイレ等々、それらは本当に当たり前なことなのでしょうか? 広辞苑で「当たり前」という言葉を引くと、「そうあるべきこと。当然。ごく普通であること」とされています。でも、少し歴史を繙けば、また世界を少し注意深く見渡せば、それが決して当たり前ではないことに誰しもすぐに気付くはずです。食べ物が無くて餓死する人たち、寒い中で着る服や暖かい部屋もなく凍える人たち、不衛生な環境の中、健康を損ねても病院も薬もなく命を落とす人たちは、過去も今もたくさんいます。そうした人たちに思いを遣れば、今ボクたちが当たり前だと思っていることが、本当は奇跡のように有難いことだということが分かります。
翻って、あなたの会社で働いてくれる従業員たち、あなたの会社に原材料を供給してくれる取引先、あなたの会社の商品を買って下さるお客様、あなたの会社を応援してくれる地域の人たち、そして、あなたを支えてくれる家族や友人、それらは決して当たり前な存在ではないはずです。本当に有難いこと、有難い存在だと心からの感謝を持って接すれば、あなたも会社も、そこから輝き始めるのではないでしょうか。