福山平成大学 小川教授の「経営の福袋」第16回人口減少の現状を直視する(上)

 先日のニュースで、昨年2024年に国内で生まれた日本人の出生数が、70万人を割り込むことが確実になったと報道されていました。これは、前年と比べて5.5%のマイナスであり、少子化の進行に歯止めが掛からないと解説されています。P.F.ドラッカーは、主著『マネジメント』の中で「われわれの事業は何か」ということを問う時、市場を出発点にしなければならないとした上で、市場動向のうち最も重要なものは人口構造の変化であり、人口構造だけが未来に関する唯一の予測可能な事象だと断言しています。

 つまり、2024年の出生数が70万人割れになったということは、20年後の20歳の人口が70万人以下になることが確実になったということです。現在20歳の人は、およそ115万人強いますので、20年後の20歳の人の数が今よりも40%減少することが既に確定したということです。同様に、1958年生まれのボクは今66歳で、ボクと同い年の人は現在およそ145万人いますが、今から65年後に66歳になる人の数は、今の半分以下の数になることが既に確定したということです。これが、ドラッカーの言うところの「すでに起こった未来」です。

 実は、少子化の問題や人手不足の問題は、昨今、急に浮上してきた問題などでは決してなく、少なくても毎年の人口構造の変化を見ていれば、今のような状況になることは既に以前から明らかだったということなのです。これまでボクは、論文や講演においてこのことを再三再四、指摘してきましたが、真剣に耳を傾ける人はほとんどいませんでした。つまり、現実を直視していた人はほとんどいなかったということです。例えば、2017年に出版された『地域創生―これから何をなすべきかー』で、ボクは以下のように書いています。

 「これまでの検討によって、判明したことは、まず、われわれが人口減少社会のなかに生きているということである。(中略)一言で言えば、人口を増加させる有効な手立てさえあるならば、こうした問題は一気に解決に向かうだろう。しかし、今後も人口が減少することは必至であり、それも急激な少子化、高齢化を伴うことは避けられない。政府を始め行政サイドは、それを知ってか知らずか、あれこれと人口増加策を打ち出しているが、これを食い止めることができるとは到底期待できそうもない。そうであれば、どの地域においても将来のことを考える場合、人口の減少は不可避だという前提に立つ必要がある。その上で、自らの地域の将来をどのようにしたいのか、どのようにすることができるのか、そのために自分たちに何ができるのか、自分たちは何をしなくてはならないのかということを、まずしっかり考え、その実現に向けて策を練り、それを諦めず実行していくことが肝要になる。もし今後、地域間に創生の格差が生じるとすれば、これができるかできないか、これをやるかやらないということが大きく影響するに違いない。」(p.60)