福山大学経済学部・周南公立大学経済経営学部 合同ゼミ合宿 企業研究レポート

尾道造船株式会社は、地域を代表する造船会社であり、新造船から修繕まで幅広い事業を展開しています。訪問した工場では、同時に5隻の船を建造できる設備を備えており、狭い敷地を効率的に使う「ところてん方式」の生産方法が印象的でした。

見学では、巨大な鉄板を組み立てて船体を形成する工程を間近で見ることができました。船を天地逆に組み立ててからひっくり返す作業など、造船特有のスケールの大きさに圧倒されました。
また、造船は受注生産が基本で、商談から完成まで3~4年を要すること、そして世界の貿易の約90%、日本の貿易の99・6%を海上輸送が占めていることを学び、造船業が社会を根底から支えている産業であると実感しました。
会社紹介では、福利厚生や人材育成制度についても詳しく伺いました。特に育児休暇の取得率が女性100%、男性も70%以上と高く、子どもの誕生や入学、成人など人生の節目に祝い金が支給される点に驚きました。さらに、新入社員研修や階層別研修、英会話講座など研修制度も充実しており、社員の成長を後押しする仕組みが整っていると感じました。
経理担当者の方への説明の中で特に印象的だったのは、長期間を要する建造に対応するための「工事進行基準」という特殊な会計ルール、そして海外顧客との取引における為替リスク管理や「前受金」による巧みな資金繰りの実態を知りました。
「工事の進捗」という会計上の概念が、目の前で巨大な船体として物理的に組み上げられていく様を目の当たりにし、会計情報と現場のリアルな活動が密接に連動していることを強く実感しました。教科書で学ぶ会計学が、実社会のダイナミックな事象をいかにして写し取っているかを具体的に理解できたことは、本研修における最大の収穫でした。
また、進水式の公開や「Thanks Day」といった地域イベント、社員同士のスポーツ大会など、社内外の交流を大切にしている姿勢も印象的でした。近年はエコ船の開発や業務の自動化など、新たな技術への取り組みも進めており、伝統と革新を両立しながら未来に挑む姿勢が伝わってきました。
社員の方々が日常的に交わす「ご安全に」という挨拶が心に残りました。造船のような大規模で危険を伴う産業だからこそ、安全と信頼を最優先に働く姿勢を学ぶことができました。
就職先を選ぶのにいちばん重要視するのは、人間関係や職場環境で、そういった場所で働きたいという意見が多かったです。
そのほか、就職先選びで重視することとして、今回の企業訪問を通して、「自らの専門性が、企業の事業活動への貢献という側面と社会貢献という二つの側面でどう貢献しているかを具体的に実感できること」であると確信しました。
私たちが大学で学ばせていただいているマーケティングでは、マーケティング施策が売上という数字の側面とユーザーにどのような影響があったのかという社会的な側面が目に見える成果につながることで、直接的な貢献を実感すると考えています。
今回の訪問でも、売り上げ以外の側面で、一隻の船が世界の物流インフラとなるという、壮大で社会的な貢献実感の存在に強く感銘を受けました。企業への貢献だけでなく、社会基盤そのものを支えているのだという誇り。このようなやりがいを感じられる企業で、自分のキャリアを築いていきたい。